ホタルブクロの花
いつものさんぽ道。
ホタルブクロの花を見かけました。
ホタルブクロの花を見ると、幼い頃を思い出します。
ずっとずっとむかしに住んでいた長屋。
その長屋の裏の茂みに、たくさんのホタルブクロの花が咲いていて。
あるとき母が茂みに入り、背の高いその花を抱えて帰ってきました。
母は花をおおきな花瓶に入れ
台所の窓辺に飾りました。
窓の手前には背の高いテーブルがあって。
当時、そのテーブルよりもずっと背のひくかった私は、飾られた花がうまく見えなくて。
せまい台所の中をあちこち動きまわり。
台所の入り口までさがって振り返ることで、ようやく飾られた花をみることができました。
薄暗い台所。
そのたかい窓辺に飾られたその花は外から差し込む明るい陽の光を受け、
幼かった私の目に、キラキラとかがやいて見えたのを覚えています。
その長屋は取り壊され、もうありませんが
もしあの家に帰ったら、いまの私の目にあの家と、あの風景は
いったいどんな風に映るのだろうと
ふと道端に咲くホタルブクロの花をみて、そんなことを思いました。